塗装工事の流れ
1.塗装対象箇所・環境の診断
まず、塗装対象箇所や環境の診断を行います。(沿岸部で塩害はないか?常に湿気がある箇所か?日照率が50%以下か?等)
2.塗装部洗浄の実施
沿岸部又は苔等の有無により高圧洗浄を実施します。
3.ケレン
*ケレンとは?
塗装する前の素地の調整の事 発錆箇所などの下地処理を行います
また、ツルツルした面には塗料が付着しにくいのでわざと傷をつけたりすることもあります
各塗装会社で解釈が違う場合もありますが当社基準は下記の通りです。
1種ケレン
ブラスト工法:砂を高圧空気で押し出し旧塗膜の除去を行うサンドブラストが代表的。高圧空気にて部材を飛ばし金属面の素地を完全にさらす工法でケレン作業の最高峰工法です。ショットブラスト・エアーブラスト等があります。
2種ケレン
電動工具を用いて発錆部・塗膜劣化部の素地をさらす工法です。
サンダーを用いる事が多く、その他工具ではベルトサンダーやオービダルサンダー、ジェットタガネなどを用います。
3種ケレン
手道具を用いたケレンで活膜部は活かします。
不織布研磨材(タワシのごついやつみたいなもの)でこすり、チョーキング箇所の素地調整を行い、発錆部もこすりあげます。その他スクレーパーなども用います。いわゆる標準的なケレンです
4種ケレン
いわゆる表面の掃除のような工法です。
活膜部に問題が無く錆もない場合に用いますが、当社で施工したことはありません。
コストの説明時に登場するだけの工法といっても過言ではありません。
コストバランス
4種ケレンを1として考えますと3種→2~3 2種→5 1種→15 となります。
当社では2種3種併用でケレンを行うことが一般的です。
4.塗料の決定
塗料に含まれる塗膜形成成分によって使用用途を選ぶ必要があります。
また、作業箇所の環境によっては使いたくても使えない仕様もあります。
例えば吹付けをしなければどうしても塗装出来ない現場の周りに駐車場でもあれば超速乾の材料しか選べない場合もあります。そういったノウハウは当社技術員を信用していただき、お任せください。
上塗り塗料の塗膜形成成分によるグレード
フタル酸樹脂系
塩化ビニル樹脂系 <アクリル樹脂系<ウレタン樹脂系<シリコン樹脂系<フッ素樹脂系
合成樹脂系ペイント
上記が塗膜形成成分によるグレードの位置づけですが注意点は下記に示します。
*1 それぞれに弱溶剤・強溶剤・水性が存在します。
*2 同一の塗膜形成成分であれば水性<弱溶剤<強溶剤の性能となります。
*3 「主剤」と「硬化剤」とに分かれた材料を2液型材料と呼び同一の塗膜形成成分では1液<2液となります。
当社での見積を作成する場合は基本エポキシ樹脂にて下塗りを行いウレタン樹脂での上塗りをする施工で見積する
場合が基本となっております。
下塗り材料は錆の具合も含め、且つ工事期間の許される範囲で選定して参ります。
主には変性エポキシ樹脂系の錆止め、超速乾下塗りのジンククロメート系プライマーなど様々な材料を選定していきます。
また塗料他材料は日々進化しております。
特殊な例は下記の通り
・遮熱塗料
文字通り塗装するだけで内部の温度を2℃~4℃下げてしまう塗装です。
仕組みは塗料の中にセラミックで包まれた球体が並んでおり、球体には空気が入っており、空気が熱伝導を遅らせ、
球体を包んでいるセラミックが熱を反射させるといったものが一般的となっていますが各メーカー様々な研究をされているようです。
塗装も特別なことは必要なく通常の塗装方法で施工できるため注目されています。
家屋の屋根や外壁にも有効です。
・UV硬化シート
紫外線(ウルトラヴァイオレットレイズ 略してUV)に当たる事によって硬化するシート。
錆が進行して穴があいてしまった箇所にシートを貼り付け硬化させると鉄並の強度で塞ぐことが出来ます。
穴の大きさや錆の進行具合によって対応出来ない場合もありますが、少々の痛みであれば充分補修できます。
・工数低減塗料
様々な塗料の分野において下塗り機能と上塗り機能を併せ持ち1回の塗装で2回塗りの塗膜を
形成させる塗料が最近開発され市場にも多く出回るようになりました。
5.塗装工事
塗装箇所により、適切な工法で塗装工事を行います。
・はけ塗り
・ローラー塗り
・吹きつけ塗装
以上のように塗装と一言でも申し上げましても様々な材料や工法があることがお分かりいただけたと思います。
工法も塗料も状況や環境により決定しなければいけないので、塗装を必要とされる場合は是非見積をお取りください。
下塗りは防食性能を持ち、それを守る為の上塗りは耐候性をもつのが塗装の一般常識だったものが過去のものになるかと思うと材料の進化に驚きが隠せません・・・
私共も日々勉強が必要です。お客様により良い技術と製品を提供出来るよう日々取り組んでまいります。